ロジスティクス4.0とは、物流におけるイノベーションを指し、物流技術の革新に留まらず「装置産業化などを通じて物流の効率化を飛躍的に向上させる」概念です。
物流業界では2024年問題が課題となる一方で、トラックの自動運転やドローンを利用した配送など、最新のテクノロジーを活用した新しい取り組みが進んでいます。ロジスティクス4.0は、AIやロボティクスを活用し、これまで人が介在していたプロセスの省人化・標準化を目指します。また、ロジスティクス4.0では、IoTの進化により、物流会社や輸送手段、輸送ルートなどの最適な方法を選択することが可能です。
まず、ロジスティクス1.0から4.0に至る変遷について説明します。ロジスティクス1.0とは20世紀から始まった「輸送の機械化」の概念です。人力や家畜を動力としていた陸上輸送は、鉄道やトラックの誕生によって高速化・大容量化が実現しました。また、風で推力がうまれる帆船での海上輸送は、蒸気機関などを利用した船舶の普及によって拡大しました。
次にロジスティクス2.0は1950年代〜1960年代におきた「荷役の自動化」を表す概念です。フォークリフトの普及や自動倉庫の実用化によって荷役が効率化しました。また、海上輸送のコンテナ化が進み、陸上と海上の間で貨物の積み替えが不要となる、海陸一貫輸送を実現しました。
続くロジスティクス3.0は1980年代〜1990年代におきた「物流の管理・処理のシステム化」の概念です。WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸送管理システム)の導入によって物流管理のシステム化を推進しました。輸出入のプロセスでは、NACCS(貿易関連の行政手続きと民間業務をオンラインで行うシステム)の導入により通関手続きが電子化されました。
さらに、ロジスティクス4.0では物流の装置産業化が進みます。倉庫の自動化や自動運転等が普及することで省人化され、物流機能が標準化されることにより企業などの境界を越えました。ロジスティクス4.0には、2つのポイントがあります。
1つ目は省人化です。管理業務の自動化、および運転や操作、判断といった分野における省人化を促進します。具体的にはトラックの自動運転、ドローンによる配送、追従型の運搬ロボット、AIによる需要予測などが挙げられます。これまでは人間でなければ不可能だった複雑な作業も、AIが習得した技術を利用することで、人が介在せず実行できるようになります。
2つ目は標準化です。今まで人が行っていた状況判断や指示などの領域が、モノとインターネットを結び付けるIoT技術の進歩によって、情報がリアルタイムで共有・蓄積され、自動化されます。これにより、幅広い業務の指示や状況判断といった分野での標準化が促進されます。また、AIの機械学習や分析による最適な輸送方法や輸送ルートの選定や、AIによる需要予測が高度化します。
参考:国土交通省『Logistics4.0』
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001476464.pdf