OTIF(On Time In Full)とは、発注した品物が指定された納期までに全数が正しく適切に納品されたかを測定するためのサプライチェーン分野で不可欠な業績評価指標(KPI)です。OTIFは通常パーセンテージで表され、計算式は以下の通りです。
OTIF=納品率×納期達成率
例えば、1,000件の注文のうち900件が指定納期の時間通りに、かつ完全に納品が完了した場合のOTIF率は90%となります。注文書にある品物は全て、納期通りに全数を納品しなければなりません。納品率及び納期達成率が共に100%であれば、OTIF100%達成と計算されます。つまり、全ての注文を欠品なく納期通りに完遂したことになります。また、OTIFは出荷時点での測定ではなく、実際に顧客が受け取った時点での成功を評価します。
納期に関する時間の認識は製造業者側と小売側で異なる場合があります。従って、サプライヤー側とカスタマー側で時間軸の定義を再確認し、共通認識を持つことが必要です。また、サプライヤーやカスタマーの指す時間帯が、広義の時間帯とは定義が異なっている場合もあるので注意が必要です。
OTIFは、時間と数量という2つの重要な要素を統合した指標です。そのため「Not-on-time but in-full」や「On-time but not in-full」といった部分的な成功を排除可能なため、「本当の意味での顧客満足度」を測定できる指標です。
OTIFの対照的な反意語として、以下のような状況が挙げられます。
1.Late Delivery(遅延配送): 指定日を過ぎてからの配送 2.Partial Delivery(部分配送): 指定日に注文数量の一部のみを配送 3.Early Delivery(早期配送): 指定日より早すぎる配送(必ずしも早いことが良いとは限らない) 4.SOT(Shipped On Time): 出荷時点での時間達成のみを測定する従来の指標 |
ある海外の消費財メーカーでは、OTIFを3%改善することで、速達コストを約40%削減することに成功したといわれています。年間のコスト削減額は約2,000万ドル、日本円換算で約29億円(2025年9月17日現在の為替)になります。また、OTIFはAIによる分析技術の活用などによって大幅なコスト削減と業務改善を図ることができます。さらに、企業はOTIFをKPIとして利用することで顧客満足度、競争優位性、企業間の信頼を得ることが可能です。
OTIFは、現代のサプライチェーン管理において不可欠な指標です。単なる配送指標を超えて、顧客満足度、企業間信頼、事業の成果に直結する重要な測定ツールです。デジタル技術と高度な分析技術を活用することで、企業はOTIFを継続的に改善し、競争優位性を確保できるようになります。
参考:Amazon Web Services ブログ『小売/消費財企業が OTIF (On-Time, In-Full) 配送を改善する方法』
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/how-cpgs-can-improve-on-time-in-full-otif-deliveries
キャプテラ 『オン・タイム・イン・フル (OTIF)』
https://www.capterra.jp/glossary/633/time-full-otif