温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas、以下GHG)排出削減とは、地球温暖化の原因物質と言われるGHGの排出を削減する取り組みです。
GHGの増加によって地球温暖化が進むと、気候変動や環境破壊など人類を含む生物の生存に極めて多大な影響が及びます。そのため、各国では危機感を持ってGHGの排出量削減に取り組んでいます。
GHG排出削減では、最も排出量が多い二酸化炭素(CO2)を削減することが特に重要とされています。
![]() |
完全脱炭素・ゼロエミ物流! 究極の物流GXへの道と、残る課題 |
---|
GHGには最も排出量が多い二酸化炭素(CO2)をはじめ、メタン(CH4)や一酸化二窒素(N2O)、代替フロンが含まれます。これらの物質は地上で発生する熱を宇宙空間に放出せず、吸収して大気中に留めてしまいます。
地球温暖化問題については、2015年にパリで開かれた「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)」で各国に具体的な目標が示されました。この時に合意されたのが「パリ協定」です。
パリ協定では、「世界のGHG排出量を削減すること」と「21世紀後半にはGHG排出量と森林などによる吸収量のバランスをとること」がうたわれています。また主要国のGHG削減目標が発表されています。日本は2030年までにGHGの排出を2013年度の水準から26%削減することをパリ協定での目標として掲げました。
日本政府は2021年4月に、2030年度までにGHGの46%削減(2013年度比)を目指すこと、さらに50%削減に向けて挑戦を続けることを表明しました。
2022年度の温室効果ガスの総排出量※1(LULUCF※2を除く、間接 CO2※3含む。以下定義省略。)は11億3,500万トン(CO2換算)であり、1990年度の総排出量から10.9%の減少となりました。
※1 CO2、CH4、N2O、HFCs、PFCs、SF6、NF3の排出量にそれぞれの地球温暖化係数(GWP)を乗じ、それらを合算したもの。ここで「GWP」とは、温室効果ガスのもたらす温室効果の程度を、CO2の当該程度に対する比で示した係数のことであり、その数値は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書(2013)の100年値を使用。
※2 土地利用、土地利用変化及び林業(Land Use, Land-Use Change and Forestry)分野の略称。
※3 一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)及び非メタン揮発性有機化合物(NMVOC)は、長期的には大気中で酸化されて CO2に変換される。間接 CO2はこれらの排出量をCO2換算した値を指す。ただし、燃焼起源及びバイオマス起源のCO、CH4及びNMVOCに由来する排出量は、二重計上防止の観点から計上対象外とする。
出典:国立環境研究所地球環境研究センター「日本国温室効果ガスインベントリ報告書2024年」https://cger.nies.go.jp/publications/report/i171/i171.pdf
パリ協定から生まれたSBT (Science Based Targets)では、企業のサプライチェーンまで含めたGHGの削減目標が設定され、サプライチェーン排出量の把握が求められています。 サプライチェーン排出量とは事業活動に関係するすべてのGHGの排出量であり、以下の3つに区分されます。環境省では国内企業に対して、サプライチェーン全体のGHG削減努力を呼びかけています。
Scope1:事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)