LX(Logistics Transformation / ロジスティクストランスフォーメーション)とは、物流領域におけるデジタル技術やデータ活用による業務変革を指します。
システムの導入やIT化にとどまらず、物流ビジネスモデルそのものを変革し、サプライチェーン全体の最適化を目指す取り組みです。日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は、2026年の重点方針として、「LXによる全体最適の実現」を掲げており、持続可能な社会と物流効率化の実現に向けた重要な概念として位置づけられています。
参考:JILS 「令和8年(2026年)年頭所感-日本ロジスティクスシステム協会 大橋徹二会長」
https://www1.logistics.or.jp/news/news-11236/
物流業界では2024年問題によるドライバー不足や、改正物流効率化法の施行など、従来の仕組みでは対応しきれない課題が顕在化しています。これらの課題を解決するには、個別企業の効率化だけでなく、荷主・物流事業者・運送会社が連携し、業界全体でサプライチェーンを再構築する必要があります。
LXは、こうした社会の課題解決の切り札として、経営層が主導する物流変革の指針となっています。物流コンサルティング領域でも、戦略立案から実行支援までを一貫してサポートする「LX実現支援」がサービスとして展開されています。
物流DX(デジタルトランスフォーメーション)は、機械化やデジタル化を通じた物流プロセスの変革を指しますが、LXはより広範な概念です。LXは、AIやビッグデータの活用に加えて、業務プロセスやデータの標準化、物流ネットワークの再設計、さらには企業文化や組織体制の変革までを包含します。
つまり、物流DXが「手段」であるのに対し、LXは物流領域全体を持続可能な形に変革するという「目的と戦略」を示す概念といえます。
LXの推進に重要な3つの要素を紹介します。
企業間での物流データ連携やシステム統合を実現するには、データフォーマットや業務プロセスの標準化が不可欠です。異なる企業間でも情報を円滑に共有できる仕組みを構築することで、サプライチェーン全体の可視化と効率化が可能になります。
IoT、AI、自動化技術などを単に導入するのではなく、自社の課題や目標に合わせて最適な技術を選定し、統合的に活用することが求められます。例えば、倉庫管理システム(WMS)や輸配送管理システム(TMS)の高度化、ロボティクスの導入などが挙げられます。
LXを組織全体で推進するには、リーダーである「物流統括管理者」の存在が重要です。CLOは経営層の一員として、物流戦略を企業戦略に統合し、全社横断的な改革を主導する、LX実現の鍵ともいえます。2026年4月からは、物流効率化法の改正により、一定規模以上の特定事業者におけるCLOの設置が義務化されます。
参考:国土交通省、経済産業省、農林水産省 「物流効率化法」理解促進ポータルサイト 『物流統括管理者(CLO)の選任
https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/clo
LXの推進により、輸送効率の向上、在庫管理の最適化、コスト削減といった直接的な効果に加えて、企業価値の向上や社会課題の解決にも貢献します。共同配送やモーダルシフトなど、複数企業が連携した取り組みは、CO2排出削減やドライバーの労働環境改善にもつながり、ロジスティクス改革を通じた持続可能な社会の実現に寄与します。
また、物流の可視化と予測精度の向上により、顧客満足度の向上や新たなビジネスモデルの創出も期待できます。