ATAカルネとは、物品の一時輸入のための通関手帳であり国際通関書類のひとつです。ATAとは「物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)」に由来します。
一方、カルネとは一時輸入免税のための通関手帳を意味します。ATAカルネを提示することで、職業用具(仕事のための撮影機材、測定器、演奏用楽器など)、展示用品、商品見本などの腐敗しにくい貨物の通関手続きを簡便に行うことができます。
本来、貨物の輸出入を行う際は税関への輸出申告や輸入申告など煩雑な手続きが必要です。
加えて輸出入の許可が出るまで時間がかかる場合もあります。ATAカルネを利用することで、こうした煩雑な手続きを簡便に行うことができます。
ATAカルネの条約締約国ではATAカルネを提示することで、簡便に通関手続きができるため、通常の輸出入の通関書類は不要です。
なお、ATAカルネが利用できる貨物は先ほどお伝えしたとり、職業用具、展示用品、商品見本の一時輸入に限定されます。
ATAカルネは非課税と免税の一時的な輸出入に利用され、最長 1 年間の利用が許可されます。また各国の税関や国境検問所で時間のロスがなく使用できるように、統一された税関申告書で構成されています。
ATAカルネには以下の2つの機能があります。
ATAカルネは税関に提出する際に輸出入の申告書と物品の明細書としての機能があります。
ATA条約締結国の税関では、提示されたATAカルネの記載事項と貨物の内容をチェックします。
問題がなければ必要な部分を切り取り、ATAカルネに必要事項を記入し、許可のスタンプを押印し、物品とともに返却します。
輸入通関の手続きの際に、輸入税の担保書類としての機能があります。
これにより、当該の貨物品は免税扱いとなり輸入税の納付が不要となります。
ATAカルネを利用することで煩雑な輸出入手続きを回避できます。
ATAカルネを利用するメリットについて具体的に説明します。
例えば、ジャーナリストが取材用のカメラを日本から海外へ持ち出すようなケースです。
この場合、通常の通関手続では「日本から輸出、海外への輸入、海外から再輸出、日本への再輸入」と、合計4回の輸出入通関手続きが必要です。さらに、取材国が複数にまたがる場合は行く先々の国で「輸入・再輸出」の手続きが必要になります。
しかし、ATAカルネを提示することでこうした煩雑な通関手続きを簡便にすることができます。
ATAカルネの有効期間は、発給日から最長一年間で、有効期間の延長は条約で認められていません。
そのため、必ず有効期限までに該当の貨物を外国から再輸出する必要があります。
ただし、日本への再輸入については、ATAカルネの有効期間は問われないため、有効期限を過ぎていてもATAカルネを利用し、再輸入することができます。
日本ではATAカルネは一般社団法人 日本商事仲裁協会(JCAA)から発給されます。
日本商事仲裁協会とは70年の歴史がある商事仲裁機関で、日本で唯一ATAカルの発給と保証をしている機関です。
ATAカルネについての詳細は日本商事仲裁協会のURLから確認できます。