フィジカルインターネット(Physical Internet)とは、情報通信のインターネットにおける通信方法の考え方をフィジカル、つまり物理的な物流の世界に展開しようという考え方です。
インターネットのパケット交換の仕組みを物流に適用して、フィジカルなモノの輸送や保管などを変革することから、フィジカルインターネットと呼ばれます。
情報通信におけるインターネットでは、パケット交換によってデータの送受信が行われます。パケット交換では、通信データをパケットと呼ばれる小さな単位に分割して送信します。
複数の通信データを同じ回線で送信できるため、回線の利用効率が向上します。
フィジカルインターネットでは、複数の企業が保有する倉庫やトラックをシェアリングし、効率的な輸送の実現を目指します。
具体的には、デジタル技術を駆使して、倉庫やトラックの空き情報を可視化し、貨物を規格化された輸送資材に格納して管理します。管理された貨物は、複数企業の倉庫、トラックなどを共有して構築した物流ネットワークを経由して輸送されます。
物流領域の課題は単独の企業のみで解決することが難しく、共同配送やパレットなどの資材や業務プロセスの標準化、複数企業間でのデータ共有による効率化を進めることが必要です。
こうした物流課題解決の方法としてフィジカルインターネットが注目されています。
経済産業省および国土交通省は、2040年を目標として物流のあるべき将来像として、フィジカルインターネットの実現に向けたロードマップの策定を進めています。フィジカルインターネットではパレットやコンテナなどの物流資材の標準化やシェアリング、データ連携のためのマスタやプロトコルの整備、企業のサプライチェーンマネジメントやロジスティクス重視への意識変革を行うことが求められています。