WCSとはWarehouse Control Systemの略称であり、倉庫制御システムを意味します。
なお、同音異義語に、世界環境保全戦略(World Conservation Strategy)を意味するWCSや、発酵粗飼料(whole crop silage)を意味するWCSなどがありますが、いずれも物流のWCS(倉庫制御システム)とは異なります。
物流業界はEC市場の成長や最先端のテクノロジーによって急速に進化しています。
かつては属人的であった作業が、AIやIoT、ロボティクスなどの先端技術により、効率性と正確性が飛躍的に向上しています。
WCSの目的は、倉庫内の作業工程を高速化および高精度化し、倉庫全体のプロセスやフローを最適化することです。
WCSは倉庫内の自動倉庫、コンベヤシステム、AGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)、自動仕分け機、ロボットなど様々な自動化設備やマテハン機器をリアルタイムで統合的に制御し、入庫から出庫までの工程で商品や貨物がスムーズに流れるように管理します。
具体的には、コンベヤ上の商品や貨物の滞留などを回避します。
WCSの主な機能について以下に記します。
1.設備制御:自動倉庫、コンベヤシステム、AGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)、自動ソーター(仕分け機)、ロボットなどをリアルタイムで制御します。
2.フロー管理:倉庫内で商品がスムーズに移動できるように、適切なタイミングで各種設備、機器に指示を出します。
3.タスクの実行:WMS(倉庫管理システム)からタスクを受け取り、そのタスクを特定の設備や機器に割り当てます。
4.リアルタイム監視:設備の状態やパフォーマンスを監視し、生産性や運用指標に関するデータを収集します。
5.ワークフローの最適化:収集したデータを分析し、タスクの優先順位を調整することでボトルネックを解消し、業務効率を向上させます。また、商品の流れを監視し、最適な搬送経路を指示します。
続いて、WMS、WESとの違いについて説明します。WCSはWMSやWESと混同されがちですが、以下のとおり、それぞれ目的や機能が異なります。
WMS(Warehouse Management System)とは、倉庫管理システムの略称です。
倉庫の入出庫、在庫、ロケーション、ピッキングリスト、出荷伝票などを管理するシステムです。
倉庫運営の計画と実行が主な目的のため、WCSのように自動化設備やマテハン機器を制御する機能はありません。
WES(Warehouse Execution System)とは、倉庫運用管理システムの略称です。
倉庫内の設備の制御や作業を管理するシステムです。WESはWCSの機能を包含しながら、より広範囲な倉庫管理機能を提供する統合システムです。
例えば、設備制御機能では、コンベアや自動搬送機器などの各種マテハン機器やIoT機器をリアルタイムに制御します。
また、作業管理機能では、従業員の作業状況を可視化し、進捗状況をリアルタイムに把握します。