ソーシャル・ロジスティクスとは、第3世代のロジスティクスを意味する新たな概念です。社会において安全安心な生活の実現を目指す仕組みのことを指します。
そもそもロジスティクスの語源は軍事における武器や弾薬、食料等の供給を行う兵站(へいたん)に由来します。これが第一世代のロジスティクス「ミリタリー・ロジスティクス」です。
第二世代に相当するのが「ビジネス・ロジスティクス」です。これはビジネス領域における物流効率化や物流コストの削減、付加価値の向上を目的に発展してきたロジスティクスです。
ただし、従来の経済的価値の追求を主とするビジネス・ロジスティクスは、様々な局面で限界を迎えつつあります。また海外ではサステナブル・ロジスティクスを始めとした新たな概念も生まれています。
こうした中、生まれたのが第三世代の「ソーシャル・ロジスティクス」です。ソーシャル・ロジスティクスが誕生した背景には、社会環境の変化も踏まえて、以下の3点が理由として挙げられます。
1.インターネット、IOT、AI など技術革新によるデジタル化の進展 2.新型コロナウイルス感染症の流行によるテレワークの普及など働き方と生活様式の変化 3.少子高齢化や労働環境の過酷化で生じた物流業界の人手不足 |
ソーシャル・ロジスティクスは、これまで経済的価値の最大化を目指していたビジネス・ロジスティックスに対し、社会的価値の最大化を目標にしています。
第一世代から第三世代までのロジスティクスの違いについて、以下の表(※)にまとめました。
項目 | 第一世代 | 第二世代 | 第三世代 |
ミリタリー・ロジスティクス | ビジネス・ロジスティクス | ソーシャル・ロジスティクス | |
目標 | 軍事的価値の最大化 | 経済的価値の最大化 | 社会的価値の最大化 |
担当 | 国家、政府、軍隊等 | 荷主(製造業、卸小売業)、 物流事業者等 | 市民・企業(荷主・事業者)、 公共部門 |
活動 | 統制 | 効率化 | 役割分担と管理、社会基盤の安定化 |
詳細活動 | 補給・輸送、整備・回収、 建設、衛生、役務・労務 | 受発注、調達・生産・販売、 輸送・保管 | サービス水準と費用負担の適正化、施設・制度の整備 |
(※)流通経済大学 学術情報リポジトリ『ソーシャル・ロジスティクスの確立に向けて』の内容を元に作成