「傭車」と「チャーター」とは、特定の要件に合わせて輸送手段を確保し、一時的な輸送を実現するための選択肢です。
「傭車」と「チャーター」について説明します。
「傭車」とは、輸送会社が請け負った貨物を自社のトラックやトレーラなどの車両で輸送できない場合に関係会社や下請けの運送会社など他の運送会社に依頼することを意味します。
「傭車」は、一時的に輸送の需要が高まった場合や特別な輸送要件を満たすために利用されます。特に季節的な需要変動や急な貨物の増加などの物流波動への対処や緊急輸送に利用されます。
「傭車」を利用するメリットは、輸送会社が、想定される最大の輸送量に備えて、常時トラックを準備する必要がない点です。必要な時に必要な輸送リソースを調達できるため、固定費を削減することができます。
一方、デメリットとして自社輸送と同様の輸送品質を担保できない可能性もあります。例えば、臭いを吸着する商品の輸送に海産物を輸送したトラックが配車されてしまうようなケースです。また緊急の輸送時に必ずしもトラックが確保できないといったリスクがあります。
続いて「チャーター」について説明します。
「チャーター」とは貸切を意味します。物流においては、トラックや船舶、航空機を特定のルートや期間で個別に借りる輸送方法です。「チャーター」は一般的に大量の貨物や特殊な貨物、緊急を要する貨物の輸送時に利用されます。
トラック輸送において、チャーターは「貸切便」と呼ばれ、トラックには1社の荷主の貨物のみ積載されます。発地で貨物が積み込まれたあと、途中で積み替えなどを行うことなく、直接着地まで輸送できる点や時間指定をできる点もメリットです。一方、デメリットは、貨物の量にかかわらず、トラック1台のあたりの貸切料金となるため、輸送コストが割高になる場合がある点です。
船舶や航空機のチャーターは特定の航路や日程に合わせて輸送手段を確保し、特定の輸送ニーズに対応するために利用されます。例えば、海外の工場に対する原材料の大量輸送や高価な美術品など特殊な貨物の輸送に利用されています。また、台風や地震など大規模な自然災害が発生した際、緊急支援物資を輸送するために航空機をチャーターすることもあります。