第7回 WMSの活用で倉庫の運用と生産性向上を実現

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第7回 WMSの活用で倉庫の運用と生産性向上を実現

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第7回 WMSの活用で倉庫の運用と生産性向上を実現

公開 :2023.05.22 更新 : 2023.06.01

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WMS(Warehouse Management System)とは、倉庫管理システムの略称であり、倉庫内作業における入出庫管理・在庫管理などの機能を搭載したシステムを意味します。

WMSは入荷・保管・出荷といった作業の正確性や効率化、物流品質の担保や生産の向上を図るプラットフォームです。また、倉庫作業に関連する前後の行程のシステムと連携させることでサプライチェーン全体の効率化を図ることができます。このコラムではWMSの特徴や機能、メリットについて説明します。

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1.そもそもWMS(Warehouse Management System)とは

WMSとは倉庫や物流センター内の入庫・在庫・流通加工・帳票類の発行・出庫・棚卸などの一連の作業を効率化し、一元管理を可能にするソフトウェアです。倉庫で取り扱う品目数は極めて多く、関係する作業も複雑で多岐にわたります。属人的な作業による管理では作業の正確性や品質を担保することは困難です。

ネット店舗とリアル店舗で販売されるオムニチャネルの対応など、WMSは企業に必須となる戦略的なシステムとして位置付けられます。同様の言葉として在庫管理システムがありますが、在庫管理システムは、自社の資材・商品としての「在庫」に関する管理をおこなうためのシステムであることに対し、WMSは在庫管理の機能も含む倉庫全体を管理するシステムのことを指します。

2.WMSの歴史

WMSの歴史は1970年代前半に搬送機器やマテハン機器をコンピュータ制御する仕組みとして始まりました。その後、WMSは生産管理や工程管理と連携することで、原材料、仕掛品、製品の在庫情報の管理もできるようになりました。

その後、2000年代に入ると、海外のWMSが導入されはじめました。国内の物流関連大手企業もWMSの販売を開始し、WMSが普及していきました。コロナ禍ではEC市場が急拡大し、物流ロボットやデジタルシステムとも連携することで、現在のWMSの機能は高度化しています。

3.WMSの種類

WMSにはフルスクラッチ(フルオーダー)型とパッケージ型があります。フルスクラッチ型は自社に合わせてゼロからシステムを構築します。物流の現場は業界ごと、企業ごとに異なります。

フルスクラッチ型は自社の現場に合わせたWMSが構築できる反面、開発コストが高額になります。また、設計から開発まで時間がかかり一度構築すると、市場の変化に合わせて柔軟に対応できないといった側面があります。

パッケージ型はすでにできあがったシステムを導入します。フルスクラッチ型と比較し安価に導入でき、すぐに稼働させることができます。さらにパッケージ型はオンプレミス型とクラウド型に分かれます。

オンプレミス型は自社サーバへシステムを導入し、運用します。自社でフルスクラッチ型やパッケージ型のソフトを導入し自社サーバ上で運用するため、初期費用と保守費用などのランニングコストがかかります。一方、クラウド型はインターネット上のシステムを利用、運用するため、自社内にサーバを設置する必要はありません。クラウド型には月額利用が可能なサブスクリプションのサービスも登場し、月額費用のみの低コストで利用できるケースもあります。

フルスクラッチ型とパッケージ型の双方のメリットを備えたものとしてセミスクラッチ型があります。セミスクラッチ型はパッケージ型の共通化されている機能をできる限り利用し、ユーザー固有で必要な機能についてはオーダーでシステムを開発します。セミスクラッチ型はコストを抑えつつ、自社のビジネスに適したWMSを導入できます。

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4.WMSの機能

WMSの機能は計画系、実行系、分析系の大きく3つに分かれます。

1.計画系

入出庫の物量予測や倉庫内作業のシミュレーション、作業員の人員計画をおこなう機能です。

2.実行系

WMSの中核となる機能で、入庫、出庫、荷役、保管といった基本機能になります。
各々の機能は更に以下の様に細分化できます。

1)入庫機能:入庫予定データの取り込み、入庫予定登録、入庫、検品、入庫登録など

2)出庫機能:出庫予定データ取り込み、出庫予定登録、出庫指示、引き当て指示、ピッキング指示、検品指示、ラベル出力、伝票出力など

3)荷役機能:ロケーション移動、転送、倉庫移動など

4)保管機能:在庫照会、在庫一覧、欠品一覧、欠品アラート、在庫ステータス、ロケーション一覧、在庫受払、棚卸処理、在庫証明書、出荷留め登録、在庫振替など

3.分析系

分析系にはコスト分析、在庫分析、作業品質分析といった機能があります。WMSの活用で得られた実績データを分析することで、課題を明らかにすることでオペレーションの改善につなげます。たとえば入出庫データから商品の季節波動を分析したり、ロケーションデータからの庫内レイアウトの課題を明らかにします。

5.WMS導入のメリット

WMSの導入により属人的な運用をシステム化することで倉庫内の作業の効率化や生産性の向上、作業の正確性や精度など、物流品質の向上を図ることができます。以下にWMS導入のメリットを記します。

①入荷・保管・出荷・棚卸の管理と業務の可視化
WMS上で業務管理をすることで、倉庫オペレーションに伴うデータを可視化できます。可視化されたデータを分析し課題を明らかにし、その解決を図ることで倉庫のオペレーションの効率化、生産性の向上を図ることができます。

②倉庫作業の正確性の向上
WMSで入庫、保管、出庫に関わるデータを管理できるため、倉庫作業の正確性が向上します。

③正確な在庫情報のデータ化
在庫数量、在庫ステータス、保管ロケーションなどをデータで管理することにより、リアルタイムに正確な在庫情報の把握が可能になります。

④他のシステムや機器との連携による自動化や生産性向上の実現
WMSはハンディターミナルなどの各種のマテハン機器と連携させて倉庫の自動化、省人化を図ることができます。自動倉庫システムや各種搬送機器、自動封函機、オートラベラーと行った自動化機器、AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)、AMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボット)といった機器との連携により高度に自動化された倉庫の実現が可能となります。

6.まとめ

WMSは倉庫や物流センターにおける基幹となるシステムです。入出庫や在庫管理を担うだけでなく、物流工程の生産性向上、品質向上を図るための核となります。また、WMSを利活用し、他のシステムと連携させて自動化、省人化を進めることができます。

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著者:蜂巣 稔

蜂巣 稔(はちす みのる)1967年生まれ。東京都出身。 大学卒業後、米国系のIT企業に入社。営業職を経てバックオフィスで輸出入、国内物流を担当。1999年通関士試験合格。 2002年に日本コカ・コーラ株式会社に転職。SCM(サプライチェーンマネジメント)部門にて一貫して国内輸送、3PL、在庫最適化、供給計画立案、購買業務に従事。飲料原料のサプライチェーンの上流から下流まで精通。 2021年日本コカ・コーラ株式会社を退職し起業。葉山ウインズ合同会社を設立。宣伝会議(株)編集・ライター養成講座43期卒業。上阪徹のブックライター塾第9期卒業。ダイレクト出版(株)セールスライター認定コース修了。物流ライターとして活動中。大手上場企業のオウンドメディアにてDXに関する記事も執筆中。

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