第12回 物流不動産の現状について

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第12回 物流不動産の現状について

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第12回 物流不動産の現状について

公開 :2024.02.21 更新 : 2024.02.27

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物流施設に併設されたカフェでは下校後の高校生が期末試験の勉強に励み、地元の高齢者が世間話に花をさかせています。週末にはきれいに植栽された中庭で、イベントが開かれ、小さな子どもを連れた近隣のファミリー層が笑顔で楽しんでいます。

保管を目的として沿岸部に建てられた従来の倉庫のイメージとは一線を画す物流施設の建設が相次いでいます。コロナ禍を経て消費者のライフスタイルと購買行動は大きく変化しました。EC市場は活況を呈し、毎年成長を続けています。 こうしたECの成長を支えるインフラの1つが物流不動産です。物流不動産とは何か?物流不動産の現状についてお伝えします。

物流不動産とは物流施設の賃貸のこと

そもそも物流不動産とはなんでしょうか。国土交通省では物流不動産を以下のように説明しています。


1.物流不動産とは、物流業務を行うための施設として第三者へ賃貸される、倉庫・物流センター等の建物。

2.物流不動産のビジネスモデルの特徴として、賃貸面積に応じた賃料を収受することで成立することが挙げられる。(従来型の倉庫業は、輸送・保管量に応じた料金を収受)

3.施設の特徴として、ダブルランプウェイ、免震・制震構造、太陽光発電など、倉庫・物流センターとしての機能拡充に資する最新鋭設備を備えた物件が増えているほか、カフェテリア、託児所など従業員の働きやすさに配慮した物件の開発も進んでいる。
引用:国土交通省「物流不動産とは」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_tk1_000146.html

従来の倉庫業のビジネスモデルでは保管料や入出庫料など、主に荷主から寄託された貨物や荷物の保管量に応じて課金されていました。しかし、物流不動産とはその名の通り、賃貸オフィスや賃貸の商業施設のようにスペースを貸し出すことで成立するビジネスモデルです。

物流不動産が増加する背景

少子高齢化によって人口減少が加速する日本では労働力不足が顕在化し、特に物流の領域では2024年問題に直面した人材不足が喫緊の課題となっています。トラックドライバーのみならず倉庫や物流センターにおける労働力確保は、物流に関わる多くの企業の課題となっています。また、ネットショッピングが日常化し、リアル店舗とネット販売が融合したオムニチャネルの普及などによって、物流に求められるニーズも多様化と高度化が進んでいます。

こうした中、倉庫や物流センターをはじめとする物流施設に求められる要件も変化しています。従来の保管を中心とする倉庫から、ECの上流から下流工程までを担う高度な物流機能を持つフルフィルメントセンターや、保管機能を持たない通過型のTC(Transfer Center)などが増加しています。加えて、流通加工や高度に自動化が進んだ先進的な物流施設のニーズが高まっています。

また、不動産投資の視点では物流不動産は賃料が高く、安定したリターンと将来性が見込める投資対象となっています。そのため、物流不動産には物流分野以外の他業種からの参入が相次ぎ、大手ハウスメーカーや電力会社による物件も建設されています。

こうした背景のもと、複数のテナントで一棟の施設を共有する、極めて大規模なマルチテナント型の物流不動産が急速に増加しています。

参考:国土交通省「物流不動産」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_tk1_000146.html

物流不動産の特徴

従来の倉庫の一般的なイメージは、港湾や空港、あるいは製造工場などの周辺に位置した巨大な直方体の建物ではないでしょうか。立地も役割もサプライチェーンの上流工程に近く、大型のトレーラーやフォークリフトが行き交い、安全第一の標語を掲げた施設といったイメージが一般的です。

一方、物流不動産は従来型の倉庫とは異なる複数の特徴があります。

1.立地

従来型の倉庫の多くは湾岸エリアに位置していますが、物流不動産の多くは内陸部に位置しています。例えば首都圏の物流施設は湾岸部から内陸部へ向けての建設が増加しています。国土交通省の第5回東京都市圏物資流動調査(平成25年)によると大規模な物流施設は外環道や圏央道といった首都圏を囲む高速道路に沿って分布しています。

引用:国土交通省「高速道路と物流施設の立地状況」
https://www.mlit.go.jp/common/001108757.pdf

2.環境配慮型の施設

物流不動産の中には太陽光発電システムの採用によって施設の電力を賄うなど、再生可能エネルギーの積極利用やLED照明の利用によって温室効果ガスの削減やカーボンオフセットの取り組みなどをしている施設があります。

3.人に優しい施設

物流不動産には働く人や地域住民に優しい環境作りを行っている施設が多くあります。物流不動産を建設するデベロッパーや大手不動産企業はオフィス設計やマンション設計に長けていることもあり、施設内のデザインも働く人が快適に過ごすことができるように配慮されている施設もあります。快適なオフィススペースやカフェテリア、託児所やシャワールームなどが設置されている施設もあります。物流施設の周囲に対しても、オープンスペースや植栽などによって地域に開かれた物流不動産が建設されています。こうした施設では建物の周辺をフォークリフトが走りまわり、パレットが山積みになっているといった光景をみかけることはありません。

物流不動産の現状についてのまとめ

EC市場の拡大を背景に物流不動産は増加しています。一方で労働人口の減少を背景にロボットやAI、多様なマテハンなど、物流の領域でテクノロジーの活用が進行しています。物流不動産は今後のサプライチェーンを担うプラットフォームとしてますます増加していくと思われます。

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著者:蜂巣 稔

蜂巣 稔(はちす みのる)1967年生まれ。東京都出身。 大学卒業後、米国系のIT企業に入社。営業職を経てバックオフィスで輸出入、国内物流を担当。1999年通関士試験合格。 2002年に日本コカ・コーラ株式会社に転職。SCM(サプライチェーンマネジメント)部門にて一貫して国内輸送、3PL、在庫最適化、供給計画立案、購買業務に従事。飲料原料のサプライチェーンの上流から下流まで精通。 2021年日本コカ・コーラ株式会社を退職し起業。葉山ウインズ合同会社を設立。宣伝会議(株)編集・ライター養成講座43期卒業。上阪徹のブックライター塾第9期卒業。ダイレクト出版(株)セールスライター認定コース修了。物流ライターとして活動中。大手上場企業のオウンドメディアにてDXに関する記事も執筆中。

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