第3回 トラック輸送の温度帯指定サービスについて 配送依頼時の注意点と対策

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第3回 トラック輸送の温度帯指定サービスについて 配送依頼時の注意点と対策

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第3回 トラック輸送の温度帯指定サービスについて 配送依頼時の注意点と対策

公開 :2023.09.13 更新 : 2023.09.22

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ヤマト運輸や佐川急便といった大手配送業者や輸送業者に依頼するとき、一般的に依頼者は輸送中の温度帯を発送時に指定することができます。ほとんどの業者は、常温、冷蔵、冷凍という3つの温度帯の中からいずれかを指定できるサービスを提供しています。

このサービスは野菜や鮮魚といった生鮮食品や冷凍食品など、温度変化によるダメージを受けやすい貨物を発送する際に大変便利です。発送する貨物に応じて温度帯指定サービスを利用している方は多いと思います。

一方で、このサービスについて誤解をされている方が意外と多くいます。例えば、常温輸送です。常温輸送とは、室温と同じ程度の温度を保って輸送する、というイメージを持っている方がいると思いますが、これは誤りです。輸送における常温と室温は同義ではありません。

誤った理解のままでは、貨物が想定外のダメージを受ける事態に繋がる可能性があります。物流事業の品質維持・品質向上のために、サービス内容やリスクを正しく理解し、必要に応じて対策を講じることが大切です。

今回は、トラック輸送の温度帯指定サービスについて、配送依頼時の注意点とその対策を紹介します。 本記事では、次のような内容に沿ってお伝えします。

1. 輸送における3つの温度帯

大手配送業者や輸送業者に依頼するとき、依頼者は輸送中の温度帯を発送時に指定できることが一般的です。ほとんどの場合は、常温、冷蔵、冷凍という3つの温度帯の中から選べます。

具体的な温度範囲については、いずれの温度帯も物流業界では統一されておらず業者によって異なるため、温度帯指定サービスを利用する前に業者へ個別に確認しておきましょう。

1.1.常温

輸送における常温とは、エアコンなどを使用しない自然な温度とされることが一般的です。業者によっては、成り行きと呼ぶこともあります。

電気部品、書籍、衣服など、温度管理が不要な貨物を送る際に利用される標準的な温度帯です。3つの温度帯の中で最も低コストで貨物を送ることができます。

大手配送業者であるヤマト運輸や佐川急便は、常温の具体的な温度範囲については明示していないようです。

1.2.冷蔵

冷蔵は、野菜や鮮魚といった生鮮食品など、温度変化によるダメージを受けやすい貨物を発送する際に利用される温度帯です。具体的な温度範囲は、業者によって異なりますが、おおむね0度から10度までが冷蔵の温度帯とされています。

ヤマト運輸のクール宅急便では0度から10度までを、佐川急便の飛脚クール便では2度から10度までを冷蔵としています。両社とも、常温での通常料金に加えてオプション料金が発生します。

1.3.冷凍

冷凍は、冷凍食品など、温度変化によるダメージを受けやすい貨物を発送する際に利用される温度帯です。具体的な温度範囲は、冷蔵と同様に業者によって異なりますが、おおむねマイナス15度以下が冷凍の温度帯とされています。

ヤマト運輸のクール宅急便ではマイナス15度以下を、佐川急便の飛脚クール便ではマイナス18度以下を冷凍としています。両社とも、常温での通常料金に加えてオプション料金がかかります。なお、冷蔵と冷凍のオプション料金は同額で設定されています。

輸送における3つの温度帯

2.配送依頼時の注意点

続いて、配送依頼時の注意点を2点紹介します。温度管理指定サービスについて正しく理解して利用してください。

2.1.常温=室温ではない

常温輸送とは、室温と同じ程度の温度での輸送である、というイメージを漠然と持っている方が意外と多いのですが、これは誤りです。一般的に室温といえば、人が過ごしやすい24度から28度程度までを、または食品の常温保存温度とされる15度から30度までを範囲としてイメージされやすいかもしれません。

しかし前述のとおり、輸送における常温とは、エアコンなどを使用しない自然な温度が一般的です。常温指定で発送された貨物は、必ずしも一般的にイメージされる室温の温度範囲内で輸送されるとは限りません。

例えば、輸送中の貨物室内が季節・地域によっては、外気温より高くなることも低くなることもあり得ます。発送先が寒冷地であれば氷点下を下回るケースや、猛暑日であれば40度を超えるケースなど、条件によっては過酷な環境下で輸送されることも発送時に想定しておかなければなりません。 常温輸送は、一般的なイメージよりも過酷な環境下での輸送であることに注意しましょう。

2.2.定温一貫輸送とは限らない

発送の際に温度帯を指定した場合であっても、一貫して定温で輸送されるとは限りません。貨物車両への積み込み、積み下ろし時、仕分け時など、どうしても外気に触れるタイミングがあるためです。

大手配送業者であるヤマト運輸のクール宅急便と佐川急便の飛脚クール便、いずれも定温一貫輸送サービスではありません。全ての物流工程において指定温度帯で作業を行うというサービスは、一部の業者の、一部のサービスに限られています。

保冷医薬品や食品など、特に温度管理が重要とされる貨物を発送する場合には、外気に触れるタイミングがあるリスクを念頭におかなければなりません。このリスクを最小限に抑えるためには、発送元で独自に対策を講じる必要があります。

3.対策例

ここまで、配送依頼時の注意点を2点紹介しました。これらのリスクに対し、どのような対策を講じるべきでしょうか。対策を検討する際は、個別に事情を勘案する必要があります。対策例として以下を参考にしてください。

3.1.条件に応じて指定温度帯を変更する

対策例の1点目として、指定温度帯の変更があります。利用する業者、貨物の種類、季節などの条件に応じて、指定する温度帯を変えてみると良いでしょう。下記のような例が挙げられます。

例1)チョコレートを発送する場合

→夏季はチョコレートが溶けるリスクがあるので冷蔵指定で発送する。冬季は溶けるリスクが低いと判断するので物流コストを抑えるために常温指定で発送する。

例2)氷点下を下回る温度が厳禁な医薬品を発送する場合

→冬季の寒冷地では氷点下を下回るリスクがあるので、冷蔵指定で発送する。

注:冷蔵指定の場合、温度範囲の下限を0度や2度を定めている業者が多いので、氷点下を下回るリスクが常温指定に比べて減少します。ただし、定温一貫輸送ではないため、いずれの指定も完全にリスクを回避できるとは限りません。

3.2.クーラーボックスを使用する

対策例の2点目として、クーラーボックスの使用が挙げられます。梱包箱に段ボールではなく、クーラーボックスを使用し発送することで、貨物の保冷機能が高くなり温度変化を緩和することができます。保冷剤も併せて使用することで、さらなる保冷機能の向上も見込めます。

ただし、この対策例にはデメリットもあります。クーラーボックスを使用して発送した場合、発送先からクーラーボックスを回収する必要があります。また、発送サイズが大きくなる場合の費用増加、クーラーボックス回収費用、クーラーボックスの購入費用など、物流コストの増加が予想されます。 どこまで温度管理を厳格に行うのか、メリットとデメリットを検証したうえで総合的に判断する必要があります。

トラック輸送の温度帯指定サービス

4.まとめ

今回は、トラック輸送の温度帯指定サービスについて、配送依頼時の注意点をそれらの対策とともに解説しました。温度帯指定サービスは、個人から企業まで幅広く頻繁に利用される一般的なものですが、実は誤解していたという方も多いのではないでしょうか。輸送における温度帯については、物流業界では明確な定義がなく具体的な温度範囲が業者間で統一されていません。温度帯指定サービスについての不明点は、まずは各業者へ問い合わせることをおすすめします。リスクがある場合、それに対してどのような対策を事前に講じるべきか、検討してみましょう。

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著者:NAKANO

現職は物流コンサルティング会社代表。主に中小の物流企業や貿易企業をサポートしている。 前職は国内大手物流企業に勤務し、物流全般の法人営業や倉庫管理を担当。 フォークリフト免許を持つ現場派コンサルタント。 本コラムでは、物流企業で勤務した経験を活かし、物流業界について執筆します。

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