第4回 物流コンサルティングの重要性。他者の視点で自社を見る

HOME

物流コンサルティング・物流DX関連コラム

第4回 物流コンサルティングの重要性。他者の視点で自社を見る

物流ITコンサルティング

第4回 物流コンサルティングの重要性。他者の視点で自社を見る

公開 :2023.01.06 更新 : 2023.06.01

著者:

物流の現場にはさまざまな課題が存在しています。そうした課題は目に見える形で顕在化しているものと、はっきりとした形では見えていない潜在的なものがあります。

人は体調を崩した時、医師から適切な診察と治療を受けることで、健康な身体に回復します。物流の領域でも同様です。物流コンサルタントから「物流コンサルティング」を受けることで課題を明らかにして、その解決にむけて進める助けとなります。このコラムでは「他者の視点で自社を見る、物流コンサルティングの重要性」について説明します。

そもそもコンサルティングとは

「コンサルティング」という言葉を聞いた時のイメージはどの様なものでしょうか。「自分達には関係ない」「なにやら難しそう」「金額が高そうだ」。一般的にこうしたイメージが思い浮かぶのではないでしょうか。

コンサルティングとは「企業が抱える課題を明らかにし、解決のために戦略の立案や提言、実践をすることで課題を解決し、企業の業績改善や発展を支援すること」です。
物流コンサルティングとは、物流に関する様々な課題の解決策をクライアントに提案し、それを実践する手助けをおこなうことを指します。

物流業界の課題解決なら鈴与シンワートにお任せ

課題に対する視点・視座

当事者は、課題の渦中にいると実態を正しく把握することが困難なことがあります。物流の現場では、過去から蓄積された現場力・熟練力によってオペレーションが最適化されていることが多いため、課題や問題がないと認識されていることがあります。潜在的な課題がありながら、可視化されていないケースもあります。

オペレーションがルーティン化した現場では「そもそもなぜ、この作業をおこなうのか?」といった根本の疑問すら浮かばないことがあります。

また、現場維持バイアス(変化を避け、現状維持を望むこと)が働き、課題の解決が進まないケースもあります。ステークホルダー(利害関係者)との関係から課題解決が進められない場合もあります。

課題を明らかにするためには、第三者的かつ客観的な視点が必要です。同時に、視座をあげて全体を俯瞰する鳥の目が必要です。

加えて、時間軸の視点も大切です。現状では最適化されているオペレーションが、将来の環境変化にも対応しうるのか、現在を見る現場の目線と、将来を見る経営者の目線は異なります。

課題の可視化に優れる物流コンサルティング

物流コンサルティングは、クライアントの企業に対し、第三者的な視点・視座で課題を可視化します。現状維持バイアスや利害関係がないため、本質的な課題を発見することに長けています。外部の客観的かつ俯瞰的な観点で、はじめて見える化する課題もあります。

例えば、EC市場の拡大で貨物の取り扱い量が増加し「人手が足りない」といった課題があります。倉庫におけるピッキングが追いつかず、作業負荷や残業時間の増大でスタッフが辞めてしまう、補充のスタッフを募集するも集まらない、といった状況があります。

こうした課題には人材を募集するアイデアもありますが、他にも様々な解決策が考えられます。例えば、自律走行型の協働ロボットを導入し、ピッキングスタッフの負荷を軽減するアイデアもその一つです。搬送に伴うスタッフの歩行距離や歩行時間を減少させることで、ピッキングに集中できる環境を作り、より少ないスタッフで生産性の向上を図ります。

人材不足が課題なのか、あるいは現場のオペレーションや工数、動線などの改善なのか、全体を俯瞰できる視座で課題の発見と特定をおこないます。

物流コンサルティングは、対症療法のみならず、根本的な課題に対するアプローチができます。現状の「As is」と、あるべき姿の「To be」のギャップに着目し「そもそも、なぜ?」と問いかけ、深掘りをしながらクライアントの課題の本質に迫ります。

物流コンサルティングが提供する課題解決の方法

物流コンサルティングは、物流に関わる様々なデータ(在庫・入出庫・輸配送・需給・スループットなど)を定量的に分析します。加えて、現場へのヒアリングなどから定性的なデータも収集します。こうして得られたデータの分析をもとに、物流コストの見直しや物流センターの設計・運営について解決策を提示し、クライアントの利益を最大化できるようにサポートします。

物流コンサルティングを提供する企業には課題解決の事例の蓄積があります。クライアントは違えども、同様のケースに対する豊富な知見、ノウハウを有しています。業界における相場感や適正値など、ベンチマークとなる指標を把握しています。いわば医師が血液検査で患者の健康状態や病気を診断できる能力と同様です。

物流コンサルタントは解決のためのフレームワークや思考方法、課題を解決するツールを有しています。豊富なノウハウやさまざまなシステム、アプリケーションなどのソリューションで課題解決を図ります。

物流部門は営業部門やマーケティング部門と比べ、社内でのプレゼンス(存在感)が低い場合があります。物流コンサルティングの現状分析や課題解決の方法は、第三者視点の客観性を持つことで経営層へ物流部門の課題を認知させ、プレゼンスを高めることにもつながります。

物流コンサルティングで業務効率化

課題の解決と成果

物流コンサルティングの提供価値は、現状と課題を正しく把握し、その課題を解決することで生産性の向上を図ることです。専門的な知識や豊富な知見で最適な解決策を提示します。

物流コンサルタントが提示した解決策は一過性のものではありません。継続的にPDCAを運用しながら、現場への定着を図ることが必要です。新しく導入された仕組みは、ともすると今までの慣れた方法に戻りがちです。これでは物流コンサルティングを導入した意味がありません。

KPIを設定し、定期的にレビューを実施しながら、「As is」が「To be」になるように継続して解決策を実践し、成果を出していく必要があります。物流コンサルティングを提供する企業は、クライアントに伴走し成果を見届けます。

物流コンサルティングを適用できる領域

物流コンサルティングを適用できるのは物流企業のみではありません。荷主企業のサプライチェーンや物流部門、バックオフィス部門に対しても適用が可能です。

物流コンサルティングは、品質の向上、コスト削減、省力化、省人化、効率化、生産性の向上を目的としています。

物流コンサルティングを適用できる領域は様々です。

1.保管・入出庫

・入出庫や保管のオペレーション上のムリ・ムダ・ムラの可視化

・工程、工数の現状分析と最適化

・ピッキングミスの削減や検品の品質向上

・物流動線の設計、棚やラックの最適配置

・マテハン、自動化機器や物流ロボットの導入

・物流倉庫拠点の最適化

・倉庫の省力化、省人化、自動化

・倉庫運営コストの削減

2.輸配送

・積載率の向上

・最適な輸配送ルートの設定

・ドライバーの労働環境改善

・輸配送コストの削減

・共同配送

・一貫パレチゼーションの導入

3.業務効率化

・DX(デジタルトランスフォーメーション)

・ペーパーレス化、伝票のデジタル化

・バックオフィス部門の業務工程、工数の最適化

・ERPソフトの導入

・人材募集のサポート

・Webサイトの運用サポート         など

まとめ

物流コンサルティングの導入により、第三者の視点・視座で課題を可視化し、解決を進めることができます。

鈴与シンワートでは「鈴与グループが持つ物流ノウハウ」と「鈴与シンワートのシステム開発力」を活かし、物流システムのIT化ロジスティクス領域の最適化を組み合わせ、物流の課題を解決する最適なソリューションをご提案します。

鈴与シンワートが物流の課題解決をした株式会社日比谷花壇様の導入事例はこちらからご覧になれます。

タグ:

著者:蜂巣 稔

蜂巣 稔(はちす みのる)1967年生まれ。東京都出身。 大学卒業後、米国系のIT企業に入社。営業職を経てバックオフィスで輸出入、国内物流を担当。1999年通関士試験合格。 2002年に日本コカ・コーラ株式会社に転職。SCM(サプライチェーンマネジメント)部門にて一貫して国内輸送、3PL、在庫最適化、供給計画立案、購買業務に従事。飲料原料のサプライチェーンの上流から下流まで精通。 2021年日本コカ・コーラ株式会社を退職し起業。葉山ウインズ合同会社を設立。宣伝会議(株)編集・ライター養成講座43期卒業。上阪徹のブックライター塾第9期卒業。ダイレクト出版(株)セールスライター認定コース修了。物流ライターとして活動中。大手上場企業のオウンドメディアにてDXに関する記事も執筆中。

著者の記事一覧へ

著者 一覧

カテゴリ一覧

タグクラウド

お問い合わせ