物流現場の負荷軽減や人手不足の解消など、経営課題を解決したい。あるいは現場をICT化したいが何から手を付けていいかわからないなど、企業は様々な悩みを抱えていると思います。
物流領域では業種や企業それぞれに様々な課題が存在します。課題解決のために自社の人材や知見など、内部リソースを利用する方法もありますが、外部リソースを利用することも極めて有効です。高度な専門的知識と課題解決力を有する物流コンサルタントを活用することで課題の解決を目指します。
このコラムでは課題解決のために「なぜ物流コンサルティングを利用するのか」について説明します。
目次
1.そもそも物流コンサルティングとは
物流コンサルティングは、物流に関する様々な課題の解決策を企業に提案し、伴走しながら施策を支援します。物流に関する豊かで専門的な知識や方法を活用し、企業の課題解決を図ります。
物流コンサルティングは、物流事業を営む企業がサービスを提供するものやコンサルティング会社が提供するもの、ITベンダーが提供するものと様々な形態があります。目的に応じて、自社の課題解決に適したサービスを選択することができます。
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物流コンサルティングの重要性。他者の視点で自社を見る |
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2.物流コンサルティング利用の流れ
物流コンサルティングを利用し、外部の専門的な知見によって自社の現状(as is)とあるべき姿 (to be) を明確にし、その間に存在するギャップ、すなわち課題の解決を進めていきます。
1.現状分析・課題抽出
物流コンサルティングのプロセスは、まず現状分析から始まります。データ分析やヒアリング、現場の視察等で得られた様々な定量的、定性的なデータを整理し、課題を発掘し可視化します。
こうして明らかになった課題が、特定の部署や工程等に起因するものか、あるいはサプライチェーンの上流や下流工程に起因するものか、全体を俯瞰して判断していきます。
2.企画立案・改善施策実施
物流に精通したコンサルタントの知見や分析手法を活用した、専門的で効果的な施策が立案されます。改善施策は優先度合を考慮しながら、スピーディーに実施されていきます。
3.効果検証・施策の定着化
効果検証は、定量的な指標と定性的な評価を組み合わせ、持続的に改善するフィードバックループを形成します。これは企業が得るメリットを最大化するためのプロセスであり、これらの結果を基に次の戦略を立案し、継続的な改善を進めます。
適切な効果検証を実施し、実際に施策が定着する様にKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)やKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定しPDCAを回すことは非常に重要です。
こうした一連の工程は、忙しい物流現場で本業を抱えながら片手間で進めていくことは難しいと思われます。また物流現場の当事者ゆえのバイアスで、課題の発掘深度が浅くなる、粒度が粗くなるといったケースが発生することがあります。
社内のリソースを充分に投入できない場合、物流コンサルティングによる課題解決は有効な手段となります。
3.物流コンサルティングを利用するメリット

1.専門的知識とノウハウの活用
物流コンサルティング会社は同業他社の課題解決の事例や、ベンチマークとなる知見を多く有しています。物流コンサルティングを利用することで、自社にはない客観的な視点で現状の課題を深掘りできます。
また、コンサルティング会社を利用すれば、コンサルタントが保有する業界の様々な情報や知見だけでなく、他業界における同様の課題解決の事例を知ることができます。
物流コンサルティングの利用は中立的な立場から「as is」「to be」の設計が可能となり、企業が目指す「to be」の解像度をあげることができます。
2.コスト削減と時間効率の向上
物流コンサルティングの活用は、課題解決のための外部リソースを確保でき、精度の高い改善施策の実施を可能にします。社内の人材を課題解決のプロに育成するためには多大な時間と労力が必要となり、そこにコストを投入できる企業は少ないのではないでしょうか。
「餅は餅屋」のたとえのごとく、高い専門性を有し課題解決のプロフェッショナルが提供する物流コンサルティングを活用することは、時間とコストの面からもメリットがあると思います。

4.物流コンサルティングを利用する際の注意点
1.全ての課題が解決するとは限らない
物流コンサルティングを利用する際に、企業が陥りがちな点として、コンサルティング会社が全ての課題を解決してくれると考えてしまうことです。コンサルティング会社は課題解決のプロフェッショナルですが、あくまで解決の主体は企業側です。企業に伴走し、課題解決をサポートするのが物流コンサルティングです。
2.全ての業界に精通しているとは限らない
物流の領域は極めて広く、業界や企業も多岐に渡ります。また、物流のプロセスやオペレーションも業界や企業毎に異なります。例えば、製造業と小売業では物流の形態も異なります。小売業の中でも、食品業界とファッション業界ではその仕組みは全く違います。
倉庫のオペレーションも、属人的な作業が残る一部の業界と、自動化が進んでいるEC業界などがあります。こうした異なる事業環境では抱える課題も様々です。
それぞれの物流コンサルティング会社がどのような分野に強みや実績があるのか、充分な見極めを行い、自社の課題解決に適切な物流コンサルティング会社を選択することが重要です。
3.ベンダー固定にはリスクが存在する
例えば、物流のITシステムに関わるコンサルティングを依頼する時に依頼先が特定のITベンダーであった場合、課題解決のために提案されるハードウェアやソフトウェアがそのベンダーの製品に固定されてしまうケースがあります。こうしたケースを回避するためにベンダーフリーの独立系物流コンサルティング会社に依頼することを検討してみてください。
5.物流コンサルティングを利用して得られる成果
物流コンサルティングを利用することで、物流のオペレーションやマネジメント領域で、課題解決を図ることができます。業務フローやオペレーションの適正化、省人化や自動化、コストや時間の削減などの成果を得ることができます。
例えば、資材の在庫の全体量や在庫配置が、全社レベルで把握できていないと重複発注による過剰在庫や無駄なコスト、転送等が発生します。物流コンサルティングを活用することで、全体を俯瞰して課題を特定し、課題解決の施策立案をすることができます。
物流コンサルティングは、本来その企業が行うべき本業への回帰や、課題を解決することによって産み出された時間や原資で、新たな価値創造につなげることができます。
6.まとめ
物流コンサルティングは、専門的知識と課題解決のノウハウを活用して顧客の現状(as is)とあるべき姿 (to be) を明確にすることができます。さらに物流コンサルタントが提案する課題解決の施策を実行することで、その企業の本来あるべき姿を実現することができます。
実業として物流事業を手掛けているコンサルティング会社は、輸送や倉庫、海外物流などで蓄積された膨大な知見とノウハウを有しているため、多様な方法やツールによって課題解決策の提案が可能です。
鈴与シンワートは「鈴与グループが持つ物流ノウハウ」と「鈴与シンワートのシステム開発力」を生かし、企業が物流事業で抱える課題に対し、最適なソリューションをご提案します。
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