物流関連2法の改正について 改正の背景や内容を確認しておこう

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物流関連2法の改正について 改正の背景や内容を確認しておこう

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物流関連2法の改正について 改正の背景や内容を確認しておこう

公開 :2025.03.26 更新 : 2025.03.25

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1.はじめに

みなさま、こんにちは。今回は、物流関連2法の改正について取り上げます。
物流に関する法律には「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物資の流通の効率化に関する法律)」と、「貨物自動車運送事業法」という2つの法律があり、一般的にこの2つの法律は物流関連2法と呼ばれています。

最近、物流関連2法は、特に物流業界で非常に注目されています。2024年4月26日に改正法案が成立し、同年5月15日に公布されましたが、その改正内容が物流事業関係者に大きな影響を及ぼす可能性があるとみられています。物流関連2法は2025年4月1日に施行されます。

本コラムでは、物流関連2法改正の背景や主な改正内容について紹介します。
荷主にも直接影響する内容になりますので、是非内容を確認いただければと思います。
なお、似ている言葉で物流2法がありますが、こちらは(1)貨物自動車運送事業法、(2)貨物運送取扱事業法の2つの法律を指し、今回の物流関連2法とは異なるのでご注意ください。

参考文献:物流2法(参照2025-03-12) https://logistics.shinwart.co.jp/glossary/butsuryu_nihou/
参考文献:物流関連2法(参照2025-03-12) https://logistics.shinwart.co.jp/glossary/butsuryu_kanren_nihou/
参考文献:国土交通省HP報道発表資料 (参照2025-03-12) https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000317.html

2.物流関連2法とは

物流関連2法とはどのような法律なのか、それぞれ簡単に紹介します。

・流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律

流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)は、流通業務の効率化を図る事業を支援する法律です。
施行令によると、この法律は流通業務の総合化及び効率化の促進を図り、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とし、輸送、保管、荷さばきなど流通業務の総合化と合理化によって流通業務の効率化を図ることと定義しています。

物流関連2法の法改正

参考文献:国土交通省「物流総合効率化法に基づく支援」(参照2025-03-12)https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/bukkouhou.html
参考文献:衆議院「制定法律の一覧 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」(参照2025-03-12) https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/16220050722085.htm

例えば物流関係者同士で連携して策定した流通業務の効率化に関する事業計画が国に認可されると一定の支援が受けられることなどを定めたものです。

・貨物自動車運送事業法

現在施行されている法律は、輸送の安全を確保するとともに、貨物自動車運送事業の健全な発達を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的として定められています。(同第1条(目的)より)
この法律における貨物自動車運送事業とは、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業及び貨物軽自動車運送事業を言います。(同第2条(定義)より)  
つまり、貨物自動車運送事業が適切かつ安全に運営されるように定められた法律です。

参考文献:貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)(参照2025-03-12)https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000083/20190914_501AC0000000037

3.なぜ物流関連2法の法改正が行われたのか

法改正自体はどちらも数年に1度の頻度で行われており、それほど珍しいことではありません。
今回の法改正が注目されている理由としては、荷主、物流事業者等の事業関係者に対して比較的強い規制が定められたためです。
今回法改正が行われた背景として、物流の2024年問題が影響している可能性があります。
そもそも物流の2024年問題とは、働き方改革関連法の施行によって物流業界で予想される様々な問題の総称のことで、今では世間でも広く認知されています。

2024年4月から働き方改革関連法が物流業界にも適用され、トラックドライバーの時間外労働の上限規制などにより、ドライバーが不足し、物流輸送力の低下に繋がるのではないか、と2024年4月の施行前から強く懸念されてきました。
2025年3月現在、施行からまもなく1年が経ちますが、当初懸念されていた通り、私たちの生活にその影響が出ていることは言わずもがなです。

さらに国土交通省によると、何も対策を講じなければ2030年度には輸送力が34%(9億トン相当)不足し、物流輸送力は現在よりもされに深刻な状況に陥る可能性があるとされています。
そのため、国としても何らかの策を講じる必要があるため、検討されてきました。

このような中で、(1)流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物資の流通の効率化に関する法律)、(2)貨物自動車運送事業法、この2つの法律が国会で2024年4月に成立し、同年5月に公布されました。さらに、2025年4月1日が2法の施行日と定められました。
この2つの法律改正は物流の持続的な成長を図ることが目的とされています。
なお、今回の法改正より、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」は、 「物資の流通の効率化に関する法律」に改称されました。

参考文献:物流の2024年問題(参照2025-03-12)https://logistics.shinwart.co.jp/glossary/2024-problem/
参考文献:国土交通省HP報道発表資料(参照2025-03-12)https://www.mlIt.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001865153.pdf

4.「物資の流通の効率化に関する法律」の改正内容とは?

主な改正内容の1つに、荷主と物流事業者等に対して新しく複数の努力義務が課せられています。例えば、改正同法第37条では荷主の努力義務として新たに以下が定められています。


第37条 第一種荷主は、貨物自動車運送事業者又は貨物利用運送事業者に貨物の運送を委託する場合(貨物自動車を使用しないで貨物の運送を行うことを委託する場合を除く。)には、当該貨物を運送する運転者の荷待ち時間等の短縮及び運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加を図るため、次に掲げる措置を講ずるよう努めなければならない。

さらに同37条の中で、具体的な措置がいくつか定められています。それらの措置の中で、同条第1項第3号が画期的で、筆者も注目していますので紹介します。


三 運転者に荷役等を行わせる場合にあっては、パレットその他の荷役の効率化に資する輸送用器具(貨物自動車に積み込むものに限る。第三項において同じ。)を運転者が 利用できるようにする措置その他の運転者の荷役等を省力化する措置

上記の第37条第1項第3号をざっくりと言い換えますと、荷主はパレットのような輸送用器具を積極的に使ってドライバーが実施する荷物の積み下ろし作業を効率化させる措置を取らなければならない、といった意味になります。

荷主として輸送業者に荷物の輸送を依頼している場合、今後はバラ積みでの輸送依頼は難しくなるため、荷物をパレットに積載した上で輸送するなどの変更対応が必要になります。
荷主は、バラ積み輸送からパレット輸送に切り替えることによって、①一度の輸送量を減らし、②新たな輸送用器具を用意するなど、努力義務に対応するには少なからず負担が増えるものと予想されます。

5.「貨物自動車運送事業法」の主な改正内容は?

こちらも主な改正内容の1つに、貨物自動車運送事業者に対して新たにいくつかの努力義務が加わりました。例えば、改正同法第24条では一般貨物自動車運送事業者の努力義務として新たに以下を定めています。


(他の一般貨物自動車運送事業者の行う貨物の運送を利用する場合の措置)
第24条 一般貨物自動車運送事業者は、自らが引き受ける貨物の運送について他の一般貨物自動車運送事業者の行う運送(自動車を使用しないで貨物の運送を行わせることを内容とする契約によるものを除く。第三号において同じ。)を利用するときは、当該他の一般貨物自動車運送事業者に係る一般貨物自動車運送事業の健全な運営の確保に資するため、次に掲げる措置(次条及び第二十四条の三において「健全化措置」という。)を講ずるよう努めなければならない。

「物資の流通の効率化に関する法律」と同様に、この法律に該当する者は新たに取り組むべき措置を遵守していく必要があります。

6.まとめ ~物流関連2法の法改正、結局どう対応すれば良い?~

前述の通り、既に改正物流関連2法の施行日は本年2025年4月1日であり、努力義務としてそれぞれ一定の措置を講じるよう定められているため、対応の先送りはできません。
今回の改正対応については、以下の順序で確認していくことが大切です。

(1)現行の法律を遵守できているかを確認する
(2)自社が改正物流関連2法の定めるどの位置に当てはまるのかを確認する
(3)当てはまる位置である場合、どのような措置を講ずる努力義務が課せられているのかを確認する

しかしながら、上述の3点を独学で正確に解釈し確認するのは非常に難しいと思われます。
適切かつスピーディに対応するためには物流コンサルティング会社や弁護士等へ相談することは非常に有効な手段です。

本コラムを掲載している鈴与シンワートの物流コンサルティングサービスは「鈴与グループが持つ物流ノウハウ」と「鈴与シンワートのシステム開発力」を生かし、物流課題に対する最適なソリューションを提案します。
まずはこちらから、お気軽にお問い合わせください。

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著者:NAKANO

現職は物流コンサルティング会社代表。主に中小の物流企業や貿易企業をサポートしている。 前職は国内大手物流企業に勤務し、物流全般の法人営業や倉庫管理を担当。 フォークリフト免許を持つ現場派コンサルタント。 本コラムでは、物流企業で勤務した経験を活かし、物流業界について執筆します。

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