物流コンサルティング・物流DX 鈴与シンワ物流株式会社様 物流ITコンサルティングサービス導入事例「『AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金』申請編」

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~鈴与シンワ物流株式会社 運行管理システム選定/導入~
「『AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金』申請編」

鈴与シンワ物流株式会社 会社概要

社名鈴与シンワ物流株式会社
所在地東京都港区海岸3-26-1 バーク芝浦5階
設立2011年(平成23年)11月1日
資本金5,000万円
事業内容貨物利用運送業、港湾運送業、倉庫業
社員数66名 ※2024年(令和6年)7月1日現在

鈴与シンワ物流株式会社(以下鈴与シンワ物流)の運行管理システムのリプレイスにあたり、同システム選定/導入のコンサルティングを鈴与シンワートが担当しております。
本コンサルティングの進捗状況をリアルタイムでレポートしていきます。

今回は鈴与シンワ物流 陸運部 課長 金山 順一様に本プロジェクトに関してのインタビューをしました。

Q1.運行管理システムリプレイスの必要性についてご教示ください。

A1.

今回弊社が行うシステムリプレイスによる輸送効率化は、CO2削減だけに留まらず、実車率の向上を主軸に、生産性向上と運行コストの削減を実現し、収益改善効果が期待できます。
また、車載のIoTデバイスが動態管理システムと連携し、渋滞回避や荒天時の経路誘導を行うほか、不測の事態が発生した際には、5台の車載カメラによる直前の映像記録などから、乗務員や車両の状況を瞬時に把握し、迅速かつ適切な対応をとることが可能で、安全面に特に配慮しています。
弊社は一昨年から物流DX化を進め、2024年問題の対策を講じてきました。
システムリプレイスによる輸送効率化は、特に収益改善効果によって、運転者不足への対策を行っていく上では、必要不可欠と考えています。

鈴与シンワ物流 陸運部 課長 金山 順一様
鈴与シンワ物流 陸運部 課長 金山 順一様

Q2.補助金の申請は検討段階のいつ頃から視野に入れていましたか?

A2.

システムのリプレイスを検討し始めた2022年末頃からです。
実は当初、オンプレの現行システムはそのまま継続利用し、車載器の交換のみを行うという計画でした。その段階では車載器の交換のみでは、燃料削減効果として1%にも満たないという試算結果から、補助金の審査には通らないと考え、申請には消極的でした。
しかし、システムリプレイスの検討に入り、システム連携による輸送効率化によって、待機時間の削減や運行経路の見直し案などから、使用燃料の削減効果を試算すると約2%という数値がはじき出され、更に運行計画支援システムを追加した実車率の向上効果を上乗せすると、輸送貨物量あたりの燃料削減率の試算が合計で4%を超えるため、審査申請を視野に入れて、導入システムの選定を進めました。

Q3.補助金の位置付けはどの程度重要視していましたか?

A3.

実運送の部門は昨今の原油価格高騰と円安の影響で軽油の値上が続き、営業利益が逼迫していたため、交付金額400万を超えるパシフィックコンサルタンツ株式会社(PCKK)の補助金はかなり大きな事業インパクトとなります。
今回申請した補助金制度は経産省と国交省の連携事業を民間のPCKKに委託し、実施されているものです。まず、公募で改善計画を募り、その中から審査で改善計画値が大きいものが選定されます。
さらにシステム導入前後の数値比較を行い、改善成果報告(目標値以上の報告が必須)が完了した後に、補助金が交付されます。
非常にハードルが高い分、交付金額も車載器本体30台分と工賃の50%相当と多額であるため、非常に重要視しました。
万一、審査に通らなかった場合は、改善実施計画を練り直し、リプレイスを次年度に延期することも検討していました。

Q4.補助金の申請から審査が通るまでの流れをご教示ください。

A4.

今年は6月末から1次公募が始まり、12日間の申請期間に申請を行い、7月下旬に審査結果が発表される流れでした。
しかし、7月19日に第1次交付決定事業者の発表がありましたが、審査通過の一覧に弊社はありませんでした。1次公募の当落結果が出ないと2次公募に申請ができないため、やきもきしていました。
その後、8月2日に行われた1次公募の2次交付決定事業者発表で無事に審査を通過することができました。

Q5.補助金を受けるためのポイントをご教示ください。

A5.

①燃料削減実施計画値の最低ラインが年度ごとに設定されるため、公募要領の確認をしました。
昨年度は1%でしたが、今年度は3%に引き上げられていました。
実施計画案は最低ライン以上の燃料削減率は必須です。弊社は5.2%を計画値としました。
(補助金の予算に上限があり、相対評価で審査を行うため、最低ラインに達していれば必ず補助金がもらえるわけではありません。)

②審査を通過するための削減率の目安は昨年度のベストプラクティス集の「交付を受けた事業者の実施計画値」を参考にしました。

③実施計画案は「輸送トンキロでの燃料削減率」を改善計画値としているため、輸送経路や配送スケジュールの見直しによる「輸送効率の向上」を目指し、多角的なアプローチから計画案を策定しました。

Q6.補助金を受けるために工夫したことをご教示ください。

A6.

①導入予定の運行計画支援システムと従来から弊社で運用していた「勝ち負け表(日毎の車両別収支管理表)」を組み合わせ、全体を可視化することで最適ルートを設定し、どれだけ削減できるかをシミュレーションしました。

②ビッグデータを基にした統計情報を活用して時間や季節ごとの運行計画を予測し、納品時間の異なる荷主ごとに細かく出発時刻を設定しました。
バルク車(粉粒体運搬車)はホースを接続して荷下ろしをするため1台ずつしか荷主側で対応ができず、従来は待機時間が増加しがちでしたが、詳細な出発時刻を設定し、待機時間の削減を積み重ねていくことで、全体のアイドリング時間の削減、ひいては燃料の削減につながることが見込まれます。

③動態管理システムとVICSを活用し、運行中にもこまめに経路変更指示が出せるため、帰庫後すぐにドライバーがすでに荷積みをしておいた別の車両に乗り換えて次の配送に向かうことができます。
柔軟な配車をしてドライバーの待機時間を削減することを計画表に盛り込みました。

Q7.申請するまでに苦労したことをご教示ください。

A7.

弊社の主力であるバルク車は、片荷運行が多く、実車率が50%強のなかで改善できるポイントが少ない点や、参考にした昨年度のベストプラクティス集の事例と、弊社の運行条件とは大きく異なるため、実施計画案の策定には相当苦労しました。

Q8.想定していなかった出来事や効果がありましたらご教示ください。

A8.

実施計画を立案する際、現行の配送プロセスを細かく書き出した業務フローを何度も見直すことで、無駄や削減できる箇所がないか、幅広く問題意識を持つことができました。
また、改善ポイントの深堀によって、新たな知見が広がり、今後、別件で業務改善や、新たな施策を講じる際には、着想のヒントに繋がると思います。

Q9.今後のシステム導入の進め方についてご教示ください。

A9.

今後と直近の予定は以下の通りです。

9月中プリンターなど周辺機器の設置
乗務員への車載器の操作説明を4回実施
導入する運行管理システムの操作説明会を実地やオンライン開催合わせて計6回開催
9月2週目車両への車載器取り付け開始
新運行管理システムの並行運用開始
10月末日全車両への車載器取り付け完了
11月1日新運行管理システムの本格運用開始
改善活動取組前のデータの取得
12月改善活動取組後のデータ取得、自己評価の取り纏め
PCKKへの報告書提出

Q10.今、最も懸念している、気を付けていることを3点ご教示ください。

A10.

①新運行管理システムを各拠点の運行管理者が上手く使いこなし、最大限の効果を引き出すことが最大のポイントになります。このため、システムの操作説明会は各拠点で4回、オンライン開催2回の計6回を開催することにしました。

②全てのドライバーが新しい車載器の操作に慣れるまで、苦労するのではないかと懸念しています。
車載器に関しても、運行管理システムと同様、各拠点での説明会を開催し、多くのドライバーの参加を予定していますが、業務都合でどうしても参加出来ないドライバーもいるため、操作説明動画などを活用する予定です。
ただ、車載器にはナビゲーションをはじめ、新しい機能が多く追加されており、また、幅広い年齢層のドライバーが在籍しているため、全員が操作に慣れるまでに時間がかかることを想定しています。

③新運行管理システムと現行のシステムには互換性がないため、車載器の全車取り付けが完了するまでは2つのシステムを同時並行で運用する必要があります。
運行管理システムだけでなく、勤怠管理などにも影響があるため、各拠点のシステム運用管理者が混乱せずに運用できるか懸念しています。

Q11.今、最も新運行管理システムに期待していることを3点ご教示ください。

A11.

①ドライバー不足への対策
新運行管理システムと連動する車載器には、ナビゲーションと各車格に応じた経路誘導システムが付いているため、入社したばかりでも、道に迷うことなく初めて赴く目的地へも、スムーズに向かうことができます。
今後、ドライバー不足が懸念されている運送業界にとって、求職者への訴求力になるのではないかと期待しています。

②勤怠管理の可視化
法令で定められた連続運転時間や休憩時間が適切に取得されているかをシステムで管理ができるため、運行管理業務を補助し、今以上にコンプライアンスの徹底ができると期待しています。

③別システムとの互換連携
弊社は2年前から導入している管理業務システムによって、ほぼ全ての帳票や管理台帳、記録簿などを電子化しています。
今後は管理業務システムと日々の運行データをクラウドサーバで互換連携させ、従来担当者が手入力していた、勤怠の基礎集計や車両メンテなどの記録を自動化させます。既に導入しているRPAとの併用で業務の省力化に繋げていきたいと考えています。


【参考:『AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金』の目的について】


この補助金は、新技術を用いたサプライチェーン全体の輸送効率化推進事業、トラック輸送の省エネ化推進事業及びビッグデータを活用した効率的かつ適切な自動車整備による使用過程車の省エネ性能維持推進事業(以下これらを総称して「間接補助事業」と いう。)の実施に要する経費の一部を民間団体等(以下「補助事業者」という。)が補助する事業(以下「補助事業」という。)を行い、当該補助事業に要する経費を経済産業省が補助することにより、陸上輸送部門における省エネルギー化を推進し、補助事業を好事例として横展開することで、内外の経済的社会的環境に応じた安定的かつ適切なエネルギーの需給構造の構築を図ることを目的とする。

(※)引用:『AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金』募集要項
https://www.enecho.meti.go.jp/appli/public_offer/2022/data/0120_03_01.pdf

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