第6回 物流DXとは?デジタルによる課題解決と新たな価値創造

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第6回 物流DXとは?デジタルによる課題解決と新たな価値創造

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第6回 物流DXとは?デジタルによる課題解決と新たな価値創造

公開 :2023.03.30 更新 : 2023.06.01

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DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?

そもそもDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは何でしょうか。

経済産業省の「DX推進指標とそのガイダンス」*1ではDXを次の様に定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化、風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

DXのゴールはデジタルを活用した経営革新であり、個別業務や個別課題の単純なデジタル化ではありません。属人的でアナログの業務をデジタル化することが、DXの目的ではなく、最終的にはデジタルを活用したビジネスの革新を目指します。そのゴールを実現するためにはデジタルの活用という手段を目的にしないことが必要です。

DXは以下の3層構造になっており、DXのゴールに至るまでにステップを踏む必要があります。

1. デジタイゼーション(Digitization)

アナログデータや物理媒体のデータをデジタルデータ化することです。例えば紙の帳票をデジタル化することで、転記作業の負荷を軽減したり、デジタルデータを部門間で共有し、業務効率を向上することなどがあげられます。

2. デジタライゼーション(Digitalization)

個別の業務やプロセスのデジタル化や、デジタル技術を用いて製品やサービスの付加価値を高めることです。クラウドサービスの利用により、業務効率の改善や省力化による顧客サービスの向上を目指すこともデジタライゼーションの一例です。

3. デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)

デジタル技術を用いた事業やビジネスモデルの変革で目指すべきゴールです。
デジタルトランスフォーメーションの段階では、顧客視点での価値創造や企業価値刷新の実現を目指します。

*1:経済産業省 「DX推進指標」とそのガイダンス
https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf

鈴与シンワートで企業のDX化を促進

物流におけるDXとは?

物流の領域においてDXはどの様に活用されるのでしょうか。国土交通省は物流DXを「機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること」*2と定義しています。
具体的には「既存のオペレーション改善・働き方改革を実現」「物流システムの規格化などを通じ物流産業のビジネスモデルそのものを革新」すると記載があります。

物流業界は属人的で労働集約型の印象が強い業界です。例えば、日本国内の輸送会社でITへ潤沢なコスト投資ができる企業は限られています。多くを占める中小企業では、十分なIT投資もままならず、デジタル化されていない非効率的業務が数多く存在し、効率化の阻害要因になっています。

現在、EC市場の拡大と比例し、労働力の需要が高まっています。一方で、トラックドライバーや労働力の供給が減少し、需給のギャップがますます深刻化しています。働き方改革による時間外労働の上限規制、いわゆる物流の2024年問題では従来とおりの物流サービスの提供が困難になることが危惧されています。

こうした課題に対して、機械化・デジタル化による業務効率化や省人化を実現し、デジタルデータを活用することでビジネスモデルの変革や経営基盤のデジタル化を目指すことが
物流DXです。インターネットに接続されていない作業を、デジタルで可視化することにより課題解決と価値創造を図ることが可能になるのが物流DXと言えるでしょう。

*2:国土交通省:物流DXについて
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/content/001379775.pdf

物流分野におけるDX

物流分野のDX化可能な業務は以下の6大基本機能があります。各々の機能をDX化することで課題解決と価値創造が実現できます。

1. 輸配送(トラックや鉄道、船舶や航空機を利用した物流拠点間の配送、小売りや顧客への配送)
2. 保管(倉庫や物流センターにおける貨物の保管)
3. 荷役(倉庫や物流センター内の作業、貨物の積み下ろし、入出庫、ピッキング作業など)
4. 流通加工(ラベル貼付や検品、値札つけなど)
5. 包装(物流容器、ダンボール、パレット、コンテナなど)
6. 情報管理(IoT、ロジスティクスDX)

物流業界のDX化を促進!鈴与シンワートの物流コンサルティングサービス

輸配送におけるDXの事例

輸配送においては、配送拠点から顧客へ納品するラストワンマイルにおいて、配送ルートや配送手順の最適化をAIで提案するシステムがあります。

また、トラック輸送では納品の行きと帰りで貨物を積載することが求められます。帰り荷が空の状態では、輸送効率が低下します。このような場合に帰り荷となる貨物の輸送を求めている荷主と輸送会社をマッチングする求車求貨システムなどもあります。

倉庫、物流拠点におけるDXの事例

倉庫の保管効率化とスタッフの生産性向上化を実現する新たなシステムも生まれています。

従来、保管品目と保管数量の増加は、水平方向へ保管スペースの拡大と、垂直方向への積み段数の増加が一般的でした。自動倉庫やラックでは在庫管理の複雑さと誤出荷を避けるため、同じ保管スペース内で異なる品目の混在保管は避けられていました。そのため保管数量が少ない場合は上部空間にデッドスペースが生じていました。
こうしたデッドスペースを圧縮し、最小化するオートストアの様な新しい設計思想の保管システムも誕生しました。

また、従来のピッキングでは貨物の保管場所まで倉庫のスタッフが移動し、ピッキング対象の貨物を目視で探すことが一般的でしたが、デジタル表示器で対象貨物を指示するデジタルピッキングシステムの導入やピッキング対象の貨物が倉庫スタッフの手元に移動するシステムの導入が進んでいます。

デジタルを活用したシステムの導入により、倉庫スタッフの歩行距離の短縮や移動時間の削減、目視で探す作業の軽減など、生産性の向上につながっています。

物流DXによる価値創造

倉庫や物流拠点における作業の迅速化や作業量の軽減は、人手不足の物流業界における省人化や、生産性の向上に寄与します。また、受注から納品まで同日配送の実現など顧客サービスの向上にも貢献します。DX化によって生まれる価値は従来のアナログ作業を可視化できることです。デジタルデータを蓄積することで新たな価値を生み出す可能性があります。蓄積されたデータを分析し活用することで、物流波動に対する適切なリソースを配置することができます。

まとめ

物流DXは、属人的でアナログな業務の効率化だけではありません。デジタル化したことによる業務の可視化や、蓄積したビッグデータをAI活用することにより、新たな価値を生み出せる可能性があります。

鈴与シンワートでは「鈴与グループが持つ物流ノウハウ」と「鈴与シンワートのシステム開発力」を生かし、物流の課題を解決する最適なソリューションを提案します。
物流分野で培った豊かな知見とITソリューションにより、課題解決と価値創造に貢献します。

鈴与シンワートが物流の課題解決をした日比谷花壇様の導入事例はこちらからご覧になれます。

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著者:蜂巣 稔

蜂巣 稔(はちす みのる)1967年生まれ。東京都出身。 大学卒業後、米国系のIT企業に入社。営業職を経てバックオフィスで輸出入、国内物流を担当。1999年通関士試験合格。 2002年に日本コカ・コーラ株式会社に転職。SCM(サプライチェーンマネジメント)部門にて一貫して国内輸送、3PL、在庫最適化、供給計画立案、購買業務に従事。飲料原料のサプライチェーンの上流から下流まで精通。 2021年日本コカ・コーラ株式会社を退職し起業。葉山ウインズ合同会社を設立。宣伝会議(株)編集・ライター養成講座43期卒業。上阪徹のブックライター塾第9期卒業。ダイレクト出版(株)セールスライター認定コース修了。物流ライターとして活動中。大手上場企業のオウンドメディアにてDXに関する記事も執筆中。

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