物流ITコンサルティングサービス
リアルタイムコンサルティング事例
社名 | 鈴与シンワ物流株式会社 |
所在地 | 東京都港区海岸3-26-1 バーク芝浦5階 |
設立 | 2011年(平成23年)11月1日 |
資本金 | 5,000万円 |
事業内容 | 貨物利用運送業、港湾運送業、倉庫業 |
社員数 | 66名 ※2024年(令和6年)7月1日現在 |
鈴与シンワ物流株式会社(以下、鈴与シンワ物流)の運行管理システムリプレイスにあたり、同システム選定/導入のコンサルティングを鈴与シンワートが提供しております。
本コンサルティングの進捗状況を過去3回に渡り、リアルタイムでレポートしましたが、今回第4回目のレポート「測定効果編」が最終回となります。
鈴与シンワ物流 陸運部 課長 金山 順一 様に本プロジェクトについてインタビューをしました。
目次
A1.車載器の販売店と設置業者のスムーズな連携のおかげで、測定対象車(50台中の30台)への車載器取り付けが9月半ばに完了し、9月20日から効果測定を開始しました。
燃料削減効果の目標値達成までは何度か試行錯誤をしましたが、焦ることなく取り組むことができました。結果、想定していたスケジュールよりも半月ほど早まり、11月半ばにはPCKKへ運転日報を添えて報告書を提出することができました。
【運用管理システムリプレイス 計画当初のスケジュール】
9月中 | プリンターなど周辺機器の設置、乗務員への車載器の操作説明を4回実施 導入する運行管理システムの操作説明会を実地やオンライン開催合わせて計6回開催 |
9月2週目 | 車両への車載器取り付け開始、新運行管理システムの並行運用開始 |
10月末日 | 全車両への車載器取り付け完了 |
11月1日 | 新運行管理システムの本格運用開始、改善活動取組前のデータの取得 |
12月 | 改改善活動取組後のデータ取得、自己評価の取り纏め、PCKKへ報告書提出 |
A2.トンキロ※による燃料削減効果5%を目標値として2024年6月に補助金申請に応募し、平均5.3%の数値を出しました。
※トンキロとは、貨物の輸送量を表す単位です。
【算出方法】貨物の重量(トン数)×それぞれの貨物の輸送距離(キロメートル)
A3.改善率が5%以上になるまで、配車計画を何度も練り直した点が一番苦労した点でした。
導入後測定の開始当初は「輸送トンキロ」の概念が現場に浸透していなかったため、燃費の改善を優先していました。
ドライバーにアイドリングストップや、早めのシフトアップを指示したり、平坦で燃料消費が少なそうな輸送ルートを選択したりするなど目先の燃費向上にこだわり、思うような結果を出すことができませんでした。
しかし、何度か試行するうちに輸送トンキロによる測定効果は、輸送距離の長さと荷量の多さに比例して結果の値が大きくなることに気付き、配車管理の工夫に取り組みました。
調査対象車両を遠距離で荷量の多い配送先へ積極的に配車し、動態管理システムを駆使し渋滞回避をしたり、荷主と連携して輸送の効率化を図って空荷を減らしたりして、一運行当たりの輸送効率を高めました。
その結果、目標をクリアすることができました。
A4.勤怠管理可視化の効果は予想を上回りました。
従来は「連続運転4時間を超えないように」とドライバーへ指導していても、高速道で渋滞が発生すると思うようにPAなどに入れず、4時間を超えてしまうことがありました。
しかし、システム導入後は事前にビッグデータを活用して配車計画を組み、直近3カ月以内での渋滞予測を加味して運行ルートを作成したり、想定外の事故渋滞などで配車計画通りの運行ができない場合は、リアルタイムで付近を走行する車両へVICS情報をもとに適切な迂回ルートを一斉メッセージ送信したりしています。
そのおかげで、連続運転4時間を超えることがなくなり、手待ち時間や不要な高速道路利用の削減、輸送効率のアップにつながりました。
管理者がリアルタイムで道路交通情報を把握することができるので、大雪が降った際も無理に帰社をさせず、状況に応じて途中のSAで9時間休憩を取らせるなどの指示を出せたため、影響は最小限で済みました。
A5.
【運行管理システムの選定について】
もっとも苦労した点は、システムの選定です。
当時、使用していた車載機のサポートが終了するという案内を受けた2年前の秋に急遽、運行管理システムのリプレイスが決定しました。
システムの知見が乏しい中、1人で何社ものベンダから、複数製品の説明を受けたり、見積を比較検討したりするなどしていました。
通常業務をしながらの検討であったため、4機種の車載器から2機種・2つのシステムに絞り込むまでに、1年近くかかりました。
その後、2つのシステムに絞り込んだ段階で、鈴与シンワート物流コンサルティング事業部のサポートを受けることになりました。
弊社が抱えていた課題を整理し、それぞれのシステムを利用した場合どの課題をどの程度解決できるかを数値化した比較表を作成していただき、わかりやすい解説を受けました。
そのおかげで、システムの採用から導入スケジュール策定まで一気に進めることができました。
システム選定の際に作成していただいた資料は弊社の課題と新システムの機能が判りやすくまとめられているため、原点回帰したい場合に見返してブレない運用を心がけています。
システム導入はひとまず完了しましたが、まだまだ活用したい機能があるため資料を見ながら導入の進捗や機能の確認をしています。
今後は、システムの機能をフル活用することで、さらに導入効果が出ることを期待しています。
【ドライバーへの対応】
新しい車載器にはナビゲーションをはじめ新しい機能が多く追加されているため、幅広い年齢層のドライバーが操作に慣れるまで苦労するのではないかと懸念していました。
しかし、大型タッチパネルは直感的に操作ができるため問題なく利用できているようです。
操作説明会に出席できなかったドライバーも、管理者やドライバー同士によるレクチャーだけで操作ができているので導入前の懸念は取り越し苦労でした。
また、タッチパネルに表示させるボタン配置が管理者側で変更できるため、日常的に使用するボタンは画面の1ページ目に集めるなどの工夫もしました。
【運行管理者への対応】
新運行管理システムと旧システムには互換性がないため、車載器の全車取り付けが完了するまでは2つのシステムを同時並行で運用する必要があり、運行管理システムだけでなく勤怠管理などにも影響があるため、各拠点のシステム運用管理者が混乱せずに運用できるかを懸念していました。
日常で使う機能に関しては管理画面の操作性が大変優れているため、全く問題ありませんでした。
しかし、今回は輸送効率化推進事業費の助成金審査があるため、使用燃料削減効果目標を達成する必要がありました。
そのため、運行管理システムの配車計画支援機能「配車計画支援システム」を使いこなさなければならず、その面で運行管理者に苦労をかけたと思っています。
前述の通り、輸送トンキロによる測定効果を出すために何度か試行錯誤を繰り返し配車管理の工夫をしました。
システムリプレイス支援開始当初に、大石社長からうかがった方針は以下の通りでした。
・『良い人材を定着させるために必要な「安全確保と業務効率化を図れるシステム」を選定すること
・従業員には、新車載システムを使いこなすスキルを身につけ、ITリテラシーの向上を図ること
A6.
【どの程度、当初の方針に沿った選定ができましたか?】
システムの中核である車載器はIoTデバイスでリアルタイムに運転状況の把握ができるため、万一の事故や大雪などの災害時の効果は絶大です。
ドライバーの安全確保という点においては、安心安全という社是に適っています。
業務効率化の面からみても、動態管理によって輸送効率が向上しています。
また、配車計画支援機能を使うと1運行当たりの運行経費の概算が表示されるので、車両収支が可視化され、運行経費とドライバー労働時間のバランスが取れた配車計画を立てることができるようになりました。
現在メーカーで開発中の上位互換連携機能が実装され次第、既に導入している電子台帳システムやeラーニングなどとの連携をする予定です。
車両メンテナンスや指導教育を含めた車両や人事データを一元管理することで、さらにDX化が進むと考えています。
【ITリテラシーの向上に寄与しましたか?】
鈴与シンワートの物流コンサルティングを受けたことで、システムを選定する際のポイントや導入手順などについて非常に勉強になりましたが、まだまだ学ばなければならないことは多いと感じています。
引き続きご教示いただきたいと思っております。
A7.昨年「物流業界における2024年問題」が報道で大きく取り上げられましたが、その影響は2025年以降さらに大きくなるとされています。
弊社のような労働集約産業では人手不足が深刻になれば、会社の根幹を揺るがす状況に陥る可能性もあります。今後も、従業員の安全確保と業務効率化の対策を続けなければ、立ち行かなくなるかもしれません。
今回、新運行管理システムの導入によって運送事業でのDX化の道筋は示されましたが、陸運部ではまだまだ倉庫事業や利用運送事業などでたくさんの課題が山積している状況です。
「省力化」や「効率化」など言葉にするのは容易ですが、実際に課題を明確にして解決策を策定することは非常に困難です。
鈴与シンワートには今後もDX化の推進を通じて御助力いただきたいと考えています。
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